1. リスク論
現在安全分野のみならず様々なところで「リスク」という概念を用いたマネジメント手法が採用されてきている。それは「リスク」概念が有効性・合理性が高いものであることの証左でもある。リスクと安全・安心や安全文化の関係性などこれまで漠然と理解していたものを論理的に解説する安全意識の向上を目指すとともに、リスクを用いて合理的な考え方を適用していくための基礎について簡単な例を用いて論理的に解説していく。本コースではプロセス安全業務に携わる方々のみならずプラント操業に従事する方々のリスクリテラシー教育と安全意識向上を目標とする。
目次:
リスク概念
リスクマネジメント
本質安全と安全設計
リスクベースアプローチ
リスクコミュニケーション
機会とイノベーション
所要日数:1日
2. プロセスセーフティ概論
1970年代の大規模事故を受けて安全規制の法整備は進んだ。これにより事故件数は減ってきたが、いまだ定期的に大規模事故が発生しており事故発生率の下げ止まりが見られる。法規制だけではもう一段上の安全レベルを目指すために安全技術者の育成が最重要。特にプロセスセーフティ技術は複数要素技術を横断的に評価し総合的にプラント安全に導く複合技術であるため、専門教育が重要。本コースではプロセスセーフティを達成するために必要となる技術要素を理解するようになることを目標とする。
目次:
コース目標
設備設計安全
操業安全
危険源の同定とリスク評価手法
設計基準事故
設計想定を超える災害
安全管理
法令遵守
着火源管理
ヒューマンファクター
環境影響評価
社会影響評価と持続的発展
所要日数:3~4日
3. プロセスセーフティ技術実践講座
PS技術実践講座では、プロセス安全を達成するため、もしくは判断するために必要な基礎となる技術体系を習得することを目標とする。PS技術は多くの安全要素技術の理解の上に、これら要素技術をつなげる技術を習得することが重要である。これら要素技術をつなげる際には、特に事故を未然に防ぐ技術と事故発生時にも事故被害を最小限に食い止めるための技術、およびこれらをリスクという指標に基づくバランスを判断できることがポイントとなる。この技術体系を座学と演習を通して習得する。またプロセス安全技術として重要となる信頼性評価、構造評価、ヒューマンファクターの考え方についても解説する。
目次:
産業区分ごとの安全分野分類
リスクベースアプローチ
一般産業安全設計
プロセス安全フレームワーク
プロセス安全設計技術
本質安全
リスクアロケーション
危険源の同定とリスク解析
機能要求管理
プロセス安全設計遂行技術
信頼性評価
構造影響評価
ヒューマンファクター
ALARP判断
所用日数:4日
4. PSM基礎講座
PSM基礎講座では、プロセス安全管理で参照されることが多い米国化学工学会化学プロセス安全センター(AIChE CCPS)の提唱するリスクベースプロセス安全管理(RBPS)20エレメントに関して、その重要項目を講義と演習を通して理解することを目的とする。20エレメントはプラント操業管理業務の中で特にプロセス安全の達成に影響すると考えられるものを抽出し、そのあるべき姿を定義したものである。本講座では、各エレメントのあるべき姿に加えて、特にマネジメントシステムとして、またはリスクベースアプローチとして、各エレメントをつなぐ概念について解説する。
目次:
一般安全管理
PSM
RBPS20エレメントプログラム
管理上の重要エレメント
技術上の重要エレメント
経験による改善
おわりに
所用日数:2日
5. PSM実践講座
PSM実践講座では、英国化学工学会安全センター(IChemE SC)が提唱するプロセス安全管理の主要エレメント6ピラーや、リスクベースによる安全規制・管理の考え方であるセーフティケース理論の学習を通して、リスクベースのプロセス安全管理に必要なリスクベースアプローチの習得を目的とする。リスクベースアプローチにおいては、プラントのライフサイクル(概念設計⇒設備設計⇒操業)の流れの中で安全上重要な設備とその管理要件を定義していく流れが重要となる。このリスクベースアプローチを既存組織または既存マネジメントシステムに統合していく際の注意点(ストラトジックPSMコンセプト)についても解説する。
目次:
プロセス安全(PS)
プロセス安全マネジメント(PSM)
マネジメントシステム設計と実行
基本情報の収集
PSM状況の分析
マネジメントシステム設計(要件定義)
マネジメントプラン(ベースライン)
PSMの実行
ゴールの達成と継続的改善
リーダーシップ
ファシリテーションスキル
コンピテンシーマネジメント
マネジメントシステムインテグレーション
所用日数:2日
6. 安全文化講座
安全文化講座では、組織の安全文化への意識を高めるため、安全文化の基本的な定義と人間・組織工学的な観点からの安全文化に対するアプローチを学ぶ。講義に加えてワークショップ形式の演習を多く実施することで参加者の意識向上を図る。またフォローアップ講座として参加者が自組織・自職場において、安全文化/HOFに関する課題を発見し講座の中で講師・参加者と議論することで具体的な安全文化向上に関する施策に展開する流れを体感する。
目次:
安全文化の歴史
安全文化の定義
組織の特性
マネジメントシステム
組織行動に影響を与える環境
安全文化の醸成
労働安全リスクアセスメント
安全文化ワークショップ
おわりに
所用日数:2.5日
SPSMの定義するリスクを用いて安全・安心を達成することができるPSE育成のためのPSE教育マップ(図1)の全域を空き時間を利用して受講できるeラーニングコース。
効率的に習得していただくために対面講座で準備している6講座を入門編、基礎編、実践編と分けて提供する。それぞれに以下構成に示す講座が入っているが、それぞれ受講生が聞きやすいようにセクションごとに30分程度の動画集としてまとめている。
入門編は対象者を問わず広くプラント操業に関わる方々のリスクリテラシーと安全意識の向上のために役立つものとなっており、基礎編はPSEを目指す方や運転・保全・生産技術などの業務を担当する方々にプロセス安全技術やPSMの基礎的な内容を習得していただくためのものとなっている。実践編はPSEとして実務を実践する方から、リスクベースマネジメントシステムをプロセス安全から持続的発展のための管理に展開していくことを目指す方々にリスクを指標と下マネジメント構築の流れを技術的とマネジメント側面双方から解説していく内容となっている。
(SPSMラーニングのサイトはこちらから)
目次:
入門編(リスク論)
基礎編(PS概論、PSM基礎)
実践編(PS技術実践、PSM実践、安全文化)